【作詞tips】構図を考える➀
- maturiccahope
- 2025年8月17日
- 読了時間: 5分
作詞をやっています、と言うとよく
「難しそう」
「何を書けばいいかわからない」
といった声を頂きます。
僕自身も冷蔵庫の隅のごちゃごちゃを寄せ集めてなんとか一品作る気持ちで毎回挑んでたりするので、簡単だよとは言い切れないのですが、数を重ねることで見えてきたノウハウもあるなと思います。
そんなヒントを時々記事にしていけたらなと思います。今回はアイデアの着想方法についてです。
いきなり作詞からはじめなくてもいい
作詞をしよう!
となったとき、ヘッドフォンをつけ、まっさらな頭でまっさらな紙に向き合い、いきなり冒頭から書き始めるみたいな図を想像するかもしれません。
(そういう人もいるかもしれませんが)僕にだっていきなり作詞とりかかるのはちょっと難しいです。
というのも作詞は、普通に文章を書くよりも制限が多いです。文字数に限りがあったり、メロディによっては韻がフックになったり、単語の刻みかたによってリズムを整えることが曲のよさを引き出す肝になったりします。
そのため、作詞に取りかかる前に書きたいものの軸が決まっていることが大事なのです。被写体を写すカメラの位置を移動するように、もしくは自分が立っている場所は変えずにカメラの向きを変えるように「世界を見回す」余裕みたいなものが必要な場面が出てきます。そうして生まれた言葉の方が、より含みがあって面白かったりもします。
そのために下準備として構図を書くのですが、その前に一段、別の話をしたいと思います。
歌いたいと思う瞬間
皆さんは、ふと頭のなかに歌や音楽が浮かんで、そっと口ずさんでしまうときってあるでしょうか。
僕は下記のようなとき、しばしば歌いたくなります。
・食器を洗っているとき
・夕焼けに気づいたとき
・自転車に乗っているとき
・水面の光を目で追っているとき
・人混みのなかを闇雲に歩いてるとき
・夜の歩道橋に自分以外誰もいないとき
今日言ってしまった余計なこと
明日やらなくちゃいけないこと
本当はやりたいのになかなか出来ないこと
ぐるぐる、ぐるぐる頭を駆け巡る思念が、何かの刺激をきっかけにコトリ、と音を立てて静かになる。心に余白が生まれる。周りの音が、光が、色が、温度が、感触が流れ込んでくる。言葉じゃないもので心が一瞬満たされる。キュルキュルとねじれるように、内側に推進力が生まれる。渾然一体となって紡がれる。
そして歌いたい!と思います。しばしばほんとうに歌ってしまうこともあります。通報だけは勘弁してください、この人欲望を抑制する力がちょっと弱いだけなんです!
「小説もどき」を書いてみる
つまり、僕は詞の中の主人公だってきっとなにか歌いたくなる状況があって歌っているはずだと思っています。
箇条書きにすると
いつ、どこで、どんな時間帯に
何を考えていて
どんな刺激(音、光、におい、色、感触など)で
どんな推進力(祈り、衝動、結論、行動、記憶など)が生まれたか
という感じでしょうか。
これらを、音楽を聴きながら思いついただけ紙にかきなぐるところから僕の作詞は始まります。音から連想される刺激、メロディから連想される感情。それに紐付く自分の記憶。その時見えていた景色。音楽から想起されたものと自分の中に既にあるものが重なりあう。
最初は単語の羅列だったりする。でも言葉が言葉を呼ぶ間になにか繋がりがあるように見えてくる。急に込み上げてきた気持ちが何かの一行になる。曲の展開に沿うように並べる。曲によっては自分の経験を越えた何かを書くべきようにも思えてくる。主人公が僕ではない誰かになる。経緯や設定を書き加えてみる。情景が動き出す。
それをひとまとまりの文章に書き起こしてみる。
そんな風に感情と記憶と虚構が入り交じって僕の場合、「小説もどき」が生まれます。
もどきと呼ぶのは、起承転結を意識した「ストーリー」ではないからです。恐らく起だけとか転だけとか、そういう類のものです。それは、「瞬間」という構図を編み出す作業なんです。
静のおわり、動のはじまり。
多分僕は音楽のことを切り取った時間だと思ってます。
「小説もどき」のメリット
小説もどきは書くのにものすごいエネルギーを使いますが、それなりのメリットもあります。
①「かける詞」の幅が広がる
曲を聞いたときに本能的に(この曲に見合う気持ちが僕のなかにはないな!)と感じるときがあります。また、(この曲に見合う気持ちをそのまま歌詞にすると恥ずかしすぎて土に埋まりそうだな!)と思うときもあります。別に自分自身の本当を全て歌詞にする必要もないのです。そのために物語があるのです。感情の構造を、別の世界の設定に置換する、みたいなやり方もあります。(またそれについては別の記事で説明するかもしれません)
②構図を可変できる
いざ書き始めると構図にはまらないこともあります。よくあるのが思ったより書ける文字数が少なくて書ける描写が限られている時です。そうなった場合は、その都度構図を頭のなかで練り直す必要があります。「小説もどき」があるとズームをかけるように一部を抜粋したり省いたり、続きがあるような終結にしたり出来るので便利です。
(というか僕はぎぎゅっと濃縮しすぎて物語の原型が消え失せることも多々あります……でも、良いんです多分意味はあります、多分……)
そして入りきらなかった部分は別の歌詞に生まれ変わったりすることもあるおまけ付きです。
おわりに
今回は作詞にとりかかる前段階の「構図を作る」作業について書いてきました。
きっと歌うことの意味が人によって違うように書き方も人それぞれなんだろうなと思います。歌詞を書く事に苦手意識がある、とっかかりがわからない、書いたことがないけど興味がある人の何かヒントになったり、面白そう!と思うきっかけになったら嬉しいです。
実は、今回の作詞の構図の作り方は
音楽以外に詞の下地になるものが何もない場合
に僕がよく使うやり方です。
でもきっと作詞を手掛ける時、下地となる物語が既にある場合、テーマやタイトルに指定がある場合も多いと思います。そういう楽曲の歌詞をかく場合について、次回はかいていけたらいいなと思います。
ここまで読んで、もし僕の作品に興味をもってくださいましたら、曲も聞いてみてください!

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